倉庫を乗り換えるとき、受け入れ側から見た失敗パターン5つ

倉庫移管

倉庫の乗り換えが失敗するとき、原因のほとんどは移管の当日ではなく、その前の情報共有にあります。 新しい倉庫が事前に受け取れなかった情報の分だけ、立ち上げ後に出荷が止まります。 引き受ける側から見て、繰り返し起きるパターンを5つ挙げます。

乗り換えの一般的な手順やスケジュールは、 発送代行の乗り換え完全ガイド(STOCKCREW)などに まとまっています。ここではそれらに書かれていない、現場で実際に起きることを扱います。

1. 在庫数が合わないまま運び込まれる

最も多い失敗です。旧倉庫の帳簿上の在庫と、実際に積まれてくる数量が合わない。 原因は、旧倉庫での最終棚卸しをしないまま出庫してしまうことです。

差異が出ると、新倉庫では「どちらが正しいか分からない」状態からのスタートになります。 受け入れ検品で数えた数を正とするしかなく、その数字を荷主側の販売管理システムと合わせる作業が追加で発生します。 この突合に数日かかると、その間は出荷できません。

対策:旧倉庫を出る前に実地棚卸しを行い、数量の確定した一覧を新倉庫へ渡してください。 差異があるなら「差異があること」も含めて共有されているほうが、何もないより早く立ち上がります。

2. 商品マスタがWMSに入る形になっていない

JANコードが無い、1商品に複数のJANが振られている、セット商品の構成が決まっていない。 このいずれかがあると、倉庫管理システムに商品を登録できません。

特に多いのがセット商品です。「Aを1個とBを2個でセットC」という構成情報が 荷主側にしか無く、倉庫に渡っていないことがあります。 倉庫はセットCを単品として保管するのか、出荷のたびに組むのかが分からず、 作業設計ができません。

対策:商品コード・JAN・商品名・サイズ・重量・セット構成を1つの表にして、 見積もりの段階で渡してください。この表の精度が、立ち上がりの速さをほぼ決めます。

3. 受注システムとの連携テストを後回しにする

在庫は運べても、受注データが流れてこなければ出荷できません。 カートやモールとの連携は、実データで一度通してみるまで必ず想定外が出ます。 文字コード、住所の分割、電話番号の桁、備考欄の扱い、ギフト指定のフラグ。

対策:在庫の移動より先に、テスト用の注文を数件流してください。 移管日の前に受注から出荷指示までが通っていれば、当日は物を動かすだけになります。

4. 旧倉庫の解約日が先に決まっている

「月末で解約するので、それまでに移してほしい」という進め方は危険です。 解約日を過ぎると旧倉庫に物を置けなくなるため、移管の遅れがそのまま出荷停止になります。

対策:新倉庫で最初の1件が出荷できることを確認してから、旧倉庫の解約日を決めてください。 重複して保管料を払う期間は発生しますが、出荷が止まる損失より小さいのが普通です。

5. 繁忙期の直前に移管する

「セール前に体制を整えたい」という動機は分かりますが、 新しい倉庫は最初の数週間、必ず慣れの期間が要ります。 その期間と繁忙期が重なると、両方が悪化します。

対策:繁忙期の2か月以上前に移管を終えるか、繁忙期が終わってから動かす。 この2択です。繁忙期の1か月前は、最も避けたい時期です。

段階的に移す、という方法

全商品を一度に移さず、出荷頻度の低いSKUから先に移す方法があります。 旧倉庫と新倉庫の並行運用になるため在庫管理は煩雑になりますが、 主力商品の出荷を止めずに新倉庫の実力を確かめられます。

並行期間中は、どちらの倉庫から出すかを受注システム側で振り分ける必要があります。 この振り分けができないカートを使っている場合、段階移管は現実的ではありません。

よくある質問

移管にはどれくらいの期間を見ておけばいいですか

業者選定と契約に1〜2週間、在庫移管の実務に1〜2週間というのが一般的な目安です。 ただしこれは商品マスタが整っている前提の期間です。 マスタの整備から始める場合は、そこに数週間が別途かかります。

移管の作業費用はどちらが持ちますか

契約によります。旧倉庫からの出庫作業費は旧倉庫、輸送費は荷主、 新倉庫での入庫検品費は新倉庫の料金表に従う、という分担が多いですが、 見積もりの段階で「移管にかかる費用の一覧」を出してもらってください。

移管中に出荷が止まる期間はどれくらいですか

設計次第でゼロにできます。段階移管にするか、物流の動きが少ない曜日に合わせるか、 事前に受注連携を通しておくかで、止まる時間は変えられます。 「必ず何日か止まる」と言われた場合は、なぜ止まるのかを聞いてください。

まとめ

乗り換えでうまくいかないケースは、倉庫の能力ではなく準備の順番の問題であることが大半です。 在庫数の確定、商品マスタ、受注連携。この3つが移管日より前に揃っていれば、 あとは物を動かすだけになります。

FID INNOVATIONでは、移管前に必要な情報の一覧をお渡しし、 受注連携のテストを済ませてから在庫を動かす進め方をとっています。 お問い合わせはこちらからご相談ください。

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