2026年の送料値上げと置き配標準化|EC事業者の実務はどう変わるか

物流動向

2026年に進んでいる変化は2つです。宅配料金の値上げと、置き配を標準サービスに位置づける約款改正。 前者は原価に、後者は再配達率と顧客対応に効きます。 どちらも「値上げされたら考える」では遅く、カートの設定と商品設計に先に手を入れる話です。

何が起きているか

配送単価の上昇

2026年春闘の賃上げ率は5.26%とされ、物流・運輸業界の人件費上昇が配送料金に転嫁されつつあります。 全国一律モデルで平均600円の配送単価に5%が乗ると、1件あたり30円の増加です。

月3,000件を出荷する事業者なら、月9万円、年間108万円の増加になります。 利益率が数%の商材では、これだけで赤字転落する価格帯が出てきます。

出典:2026年春闘・賃上げ5%超えで宅配便コストはどう変わるか(STOCKCREW)

置き配の標準サービス化

国土交通省が、置き配を宅配便の標準サービスとして位置づける標準運送約款の改正を進めており、 2026年度以降の施行が見込まれています。 背景には再配達率の高さがあり、2025年4月時点で大手6社平均8.4%と、政府目標の6%を上回っています。

出典:置き配の標準サービス化でEC物流はどう変わる?(STOCKCREW)

EC事業者の実務で何が変わるか

1. 送料無料ラインの再計算が必要になる

「5,000円以上で送料無料」のような設定は、設定した時点の配送単価を前提にしています。 単価が上がれば、無料ラインを超えた注文ほど赤字が深くなります。

見直すときは、客単価の分布を見てください。 無料ラインの直上に注文が集中している場合、ラインを上げると注文数そのものが落ちます。 ライン変更ではなく、同梱提案で客単価を押し上げるほうが効くケースがあります。

2. 配送方法の選択肢を分けたほうがよくなる

宅配便一本で運用している場合、厚みや重量によってはメール便系に振り分けられる商品があります。 ただし薄型梱包は、箱詰めより梱包作業の手間がかかることがあります。 配送料の差と作業料の差を両方見て判断してください。単価表の片側だけを見ると判断を誤ります。

3. 置き配を前提とした商品設計が要る

置き配が標準になると、玄関先に置かれることが前提になります。

  • 外装から中身が分かる梱包は、商材によっては避ける
  • 高額商品は対面受取を指定できるようにしておく
  • 雨濡れを想定した梱包材にするか
  • 温度に弱い商材は、置き配を外す運用にするか

倉庫側に「この商品は置き配不可」といった指定を渡せるかは、受注連携の設計次第です。 いまの仕組みでフラグを渡せるか、確認しておいてください。

4. 再配達が減ると、実は原価が下がる

再配達は配送会社のコストですが、長期的には料金に反映されます。 置き配の標準化で再配達率が下がれば、値上げ圧力の一部は和らぐ方向に働きます。 事業者側でできるのは、注文時点で置き配の希望を取ることです。 配送会社の不在票より、注文画面のほうが確実に意思を取れます。

拠点の位置でも変わる

配送料は距離区分で決まるため、出荷元がどこにあるかで総額が変わります。 また、関東に拠点が集中している事業者は、首都圏の災害や天候で出荷が止まるリスクを抱えています。

FID INNOVATIONの物流センターは富山県富山市にあり、 関東・関西へは翌日着、九州へは中1日で届きます。 3大都市圏からほぼ等距離という位置関係が、配送日数と災害時の分散の両方に効きます。

よくある質問

値上げ分は価格に転嫁すべきですか

一律に転嫁するか、送料無料ラインを調整するか、同梱で客単価を上げるかの3択です。 どれが効くかは客単価の分布によります。分布を見ずに決めると、注文数を落とします。

置き配はいつから標準になりますか

標準運送約款の改正は2026年度以降の施行が見込まれています。 確定した日付は所管官庁の公表を確認してください。

置き配で盗難があった場合、誰の責任になりますか

約款と各社の規定によります。自社の利用規約に、置き配を選択した場合の取り扱いを明記しておいてください。 標準化が進むほど、この記載の有無が効いてきます。

まとめ

送料の上昇は止まりません。できるのは、 送料無料ラインの再計算、配送方法の振り分け、置き配前提の梱包設計の3つです。 いずれも値上げが来てからでは間に合わないので、いまのうちに数字を把握しておいてください。

出荷データをお預かりして、配送区分別のコストを分解するところからご相談に乗っています。 お問い合わせはこちらをご覧ください。

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